激震が走るファション業界:Yohji Yamamoto、身売りを検討

yohji yamamoto
不況が続く世界情勢により、アートとビジネスのバランスが崩れ始めている。それはファッション業界、メジャーブランドにおいても同じことだ。
日本の、いや世界のモードファッションをcomme des garconsと共に日本勢としてリードしてきたYohji Yamamotoが経営危機に直面していることが発覚した。
ヨウジヤマモトがスポンサー探しを進めていることが明らかになったのは、同社の子会社にあたる「リミヤマモト」が取引先に宛てた要請文において。先月29日付で月末の支払い猶予を求めたものだ。
その中で「弊社の状況」として「(株)ヨウジヤマモトは現在、スポンサー候補による投資検討、取引金融機関様による金融支援検討が継続しております」との説明が取引先に対してなされた。
支払い猶予は、7月末期日のものについて20%のみを支払い、残りを8月末まで繰り延べるというもの。これにより同社は一息つく形となった。同様の要請文は、ヨウジヤマモトも取引先に対して提示している模様だ。
これらについてヨウジヤマモトの広報宣伝部は「そうしたものを配付したのは間違いないが、まだ何も決まっていないため、現時点でこれ以上は話せない」としている。
現在のグループ中心企業であるヨウジヤマモトは79年の設立で、パリ、ロンドン、フィレンツェに支店を登記。ほかにイギリスやアメリカにも現地法人があり、グループの総従業員は約600人とされる。山本耀司氏の長女・里美氏もデザイナーで、前出のリミヤマモトはヨウジヤマモトから2006年に新設分割され、女性向けブランド「LIMI feu」を展開している。
非上場企業だけにヨウジヤマモトの業績面での正確な数字は不明だが、2005年8月期の官報公告によると、3600万円の最終赤字ながら利益剰余金は44億円にも上り、当時はまだ内部留保が潤沢だったようだ。自己資本比率も5割近くあった。
経営不振に拍車がかかったのは、最近のこととみられる。業績面との関連は不明だが、山本耀司氏は4月30日付で代表取締役を辞任、経営の一線からは退いている。
昨年来の景気悪化で、高級ブランドの苦戦ぶりは鮮明だ。ひと頃は海外高級ブランドが銀座や表参道に大規模な旗艦店を次々に出店して、不動産ミニバブルの発火点ともなったが、様相は一変した。
クオリティ、世界観を重視したブランドはYOHJI YAMAMOTOに限らず、苦戦を強いられている。円高ユーロ安も1つの要因ではあるが、フェラガモ、カルティエ、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールなど、代表的なブランドは昨年来、相次いで値下げを実施している。
一方UNIQLO等の低価格ブランドは着実に売上を伸ばしている。消費されるファッションは今の音楽業界の一曲買『消費音楽』と似ている部分がある。良いもの、クオリティが高いものを所有することに価値を見いだして人々が着実に減っているのは否めない。
こうした勢力変化の中での有名デザイナーブランドの身売り話は象徴的だ。日本人デザイナーの有名ブランドでは、森英恵氏の「ハナエモリ」が2002年にブランド全体を三井物産に対して売却する方向で交渉を行ったが、その時は頓挫して民事再生法の申請という結果となった。
一方、バランスをうまく保っているのがComme des garconsである。キュートさを盛り込んだ商品や『BLACK COMME des GARCONS』という時代に合わせた価格的には手頃なLINE-UPを展開し、強烈な個性を愛してやまないギャルソンファン以外の取込みにも成功しているのではないだろうか。
アートとビジネスのバランスは非常に難しい。成功している事例として、コアなファンを魅了しつつもビジネスとして成功していたかのように見えたYohji Yamamotoを目標としていた若者も多いであろう。固定ファンを大事に、事業規模を縮小してでも、デザイナー本人の意志が入った服作りを続けられる方法を模索してほしい。
*nikkei business抜粋も含む
Mag Feed